今回は、FILCO メカニカルキーボード Majestouch BLACK fkbn91ml/jb2 (テンキーレス・黒軸) について。
特徴
- Cherry MX Black (黒軸/linear)
- かななし/前面印字
- USB・PS/2 両用(USB → PS/2 変換アダプタ付き)
- N キーロールオーバー対応(PS/2 接続時)
- キーピッチ/ストローク 19mm/4±0.5mm
はじめに
今回紹介するのは「黒軸」モデルになりますが、その前にメカニカルキーボードで採用されている「~軸って何?」という方もいらっしゃると思うので、まずは各軸の特徴についてみていきたいと思います。
基本的には、
- 茶軸 : 軽く素直な押し込み感と底打ち前にカチリと軽やかなスイッチ感があります。
- 黒軸 : スイッチ感は無くストレートな押し込み感があります。
- 白軸 : 茶軸を重くした感じです。最近はほとんど見かけません。
- 青軸 : 茶軸にカッチンと明確なスイッチ感を加えた感じです。
- 赤軸 : スイッチ感はなく黒軸を軽くしたものです。
といった特徴があり、押下時の重さ (バネの強さ) や 途中に抵抗があるかどうかがポイントです。
黒軸について
紹介する黒軸に関しては、「クリック感」が無く押し込むほど「重く」なるという特徴から、
- いつ入力されたのかわかりにくい
- 重くて疲れそう
といった印象をもたれると思います。「家電量販店で触ってみたけど、どうも重くて合わないな…」と感じる方も多いかもしれません。
では、そんな黒軸の利点はというと 反発を生かした高速&静音タイピング です。
というのも、下の黒軸の特性に関する画像を見ると、
1cN (センチニュートン) = 0.98g重 ≒ 1g重 |
キーストローク(キーを押し始めてから底につくまでの長さ)が 4mm で、「operating point」、つまり認識点は 2mm となっています。これはキーを完全に押し込む必要はなく、半分ほど押下すれば文字が入力されるということです。
また、押し込むほど重くなる = 押し込むほど反発が強くなるため、慣れればその 反発にまかせた軽快なタイピング が可能になります。
Cherry MX Black |
量販店等では見本が画面につながっていることは少ないので、製品比較の際に一生懸命底打ちしてしまい最終的に「重くてダメだ…」となってしまいがちですが、上述の特性から底打ちではなく、いわゆる 「撫で打ち」に適している軸 といえます。
底打ちしないことを意識することで、いきおい、高速かつ静かなタイピングが可能になるという訳です(メカニカルの中では静かというレベルですが)。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、製品についてみていきたいと思います。
製品について
デザイン
前面印字という珍しい特徴もあって、なかなかデザイン性の高いものとなっています。
前面といっても使っていて印字が見づらいということもないですし、見る角度によっては無刻印に見えたりと面白いキーボードです。タッチタイピングができない方でも全く問題はないと感じました。
日本語配列ながらごちゃごちゃしていないところも好印象です。
真上から 無刻印のように見えるデザイン |
実用面でも、摩擦等で印字が消えにくいというメリットがあるので長く使用する上では嬉しいところです。
タイピング時の視点 刻印はしっかり見える |
ステップスカルプチャ(カーブ構造)採用 |
製品に合わせた黒いロゴ |
付属品
- USB → PS/2 変換アダプタ
- FILCO KeyPuller
- カバー(透明)
- 交換用 Win キー(前面印字)
- ケーブル結束バンド(マジックテープ)
となっており、必要十分なものが入っています。
不満というほどでもないですが、ゲーム用として購入する場合もあると思いますので、色違いの「WASD」キーが付属していれば更に満足度が上がりそうです。
USB → PS/2 変換アダプタ |
付属の FILCO KeyPuller |
ほこりよけとして使用できる |
使用感
初めて触れたときは、新品で「こなれていない」ということもあり、やっぱり重いかもしれない、失敗した…と少々後悔しました。また、クリック感の無さから何とも不思議な打ち心地で「つかみどころがない」、「浮いた感じ」といった印象もありました。
その後、認識点を感覚的に覚え、自然と撫で打ちするようになったことで重さは感じなくなり 「流れるように入力できる」、「心地良い」 という感覚の方が勝るようになりました。
…と、怪しい団体の宣伝文句のようになってしまいましたが、要はほかの軸と比べて慣れるまでに少々時間がかかる、表現を変えれば練習が必要になりますので、そのあたりを越えられるかどうかでこの軸の評価は変わってくると思います。クセはあるものの少し触れただけで切り捨ててしまうのは非常にもったいない 軸ともいえます。
ZF Electronics 社(旧 Cherry 社)製 「MX 黒軸」 |
タイピングの速度に関しては、某家電量販店で「黒軸は高速タイプに向く」と紹介されていた通り所持している「青軸」、「メンブレン」と比較して「黒軸」が最も早くタイプできました(黒軸・メンブレン・青軸の順)。
理由として、黒軸は感覚的にキーの返りが素早く、加えて途中に一切抵抗がないため連打もしやすかったことが挙げられます。キートップが指に吸い付く感じという表現がしっくりきます。
青軸については、押下時の音もあって打ち間違いが少なく、単純にメカニカルらしい「楽しさ」が感じられるのは確かです。しかし、途中に「抵抗 (クリック感)がある」ことと「バネの弱さ」によって、認識点を越えてからキーが返るまでが黒軸よりわずかに遅い感じがしました。ただ、好みや慣れの範囲といえるレベルですのでどちらが優れているとは言えません。
メンブレンに関しては、押下時の抵抗(ラバードームのへこみ)が青軸の抵抗よりも控えめなため、黒軸と同程度の速さで打てたのかなといったところです(使用期間が長く慣れているというのもありますが)。
ゲームにおいて
タイピング同様、反発を活かした軽快な操作が可能といった印象です。
アクションゲームのデフォルト移動キーである「WASD」の操作をはじめ、FPSでよくあるストッピング操作(Sidestep Shooting / Strafe Shooting)などにおいて、青軸のような認識点のわかりやすさには欠けるもののあるキーから別のキーを入力する際に非常に素早い入力が可能だと思います。
黒軸を採用しているゲーミングキーボードにSteelSeriesの 7G や 6Gv2 といった製品がありますが、その紹介ページに「限界だと思っていたあなたのAPM(一分間の操作量)に新しい天井を与えてくれるのです」とあるのも、表現はともかくうなずけます。
しかしながら、上述のように底打ちに不向きという軸の性質上 「押し続ける」操作には弱い と感じました。
例えば、「走る」・「しゃがむ」といった操作が挙げられますが、こうした操作は無意識のうちに底打ち状態を維持していることが多く長時間プレイしていると指への負担が大きくなります。そのため、対戦がないようなゲームではこうした操作を「オン」・「オフ」の設定、いわゆるトグル設定にして負担を軽減するのも良さそうです。
キートップが湾曲しているため指を置きやすい |
"Made in Taiwan" |
滑り止めのゴム付 |
滑り止めに加えて本体の重さがあるため安定性に優れる |
最後に
Majestouch BLACK についてみてきましたが、基本的には Majestouch 2 がベースとなっているそうなのでキーボードとしての性能は全く問題なく、文書・ゲームなど、どんな用途でも安心して使用できる製品です(余談ですが USB View によれば Reporting Rate 1ms 仕様のようです)。
前面印字モデルは、普通のデザインに飽きた方や、ごちゃごちゃした印字が嫌いな方にはもってこいです。
今回紹介したのは黒軸モデルですが、「赤・青・茶」軸や英語配列モデル(Majestouch NINJA)も選べます。
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